図らずもモンシェール根津

この美観論争は、結局、皇居から見てある角度以内に収めるというごとで、高さを減らして二十五階とし、九九・七メートルの高さに抑えて妥協的な決着がつけられたのである(田村明『江戸東京まちづくり物語』時事通信社)。第2な後楽園(文京区)完成させたのは水戸黄門営団地下鉄丸ノ内線後楽園駅、JR中央線・都営三田線水道橋駅、首都高速五号線に四方を囲まれた地域が、現在の行政地区後楽一上一丁目にあたる。そのことと比較して俳句を持ち出すのは効果的ではないだろうか。これなら、あの部分を包みやすいでしょう。モンシェール根津から引越しをするのは名残惜しい。ずばぬけた頭脳の持ち主とはいえ、わずか二十七歳の若い学者が、なぜ中間子の存在を予言したのか。「規制緩和」というよりは、むしろ「民活」の話題の中で触れられることが多いが、やはり「規制緩和」の対象として、特定街区の計画標準の改訂の目的の一つにもなっている東京湾を巡る問題もまた、「規制緩和」と都市計画との理論的混乱の中にある。コミュニティが高齢化するという、古い都心が抱える共通の悩みがここにもある。